ワンクリック詐欺とは、インターネット利用者にとって無縁ではない詐欺の手口です。被害はパソコンだけでなくスマートフォンでも確認されており、日々巧妙化しています。
インターネットを利用することが多い人は、ワンクリック詐欺の被害に遭わないよう対策が必要です。
この記事では、ワンクリック詐欺とはどのような詐欺なのか、またその手口と対策方法を解説します。
ワンクリック詐欺とは
ワンクリック詐欺とは、1回クリックしただけで料金の請求画面が表示される詐欺のことです。有料サービスである説明がない状態での料金請求は不当で、当然ながら支払い義務はありません。
しかし、請求画面に「個人情報を特定した」「支払わなければ法的措置を取る」といった脅しの文言があり、不安から支払ってしまう人がいます。また近年手口も巧妙化しているため、警戒すべき詐欺です。
ワンクリック詐欺の手口
では、実際によくあるワンクリック詐欺サイトの事例をいくつか見ていきましょう。
アダルト系サイトから誘導
アダルトサイトで気になるタイトルもしくは画像を見かけ、クリックして進んでいったら「登録完了」と表示されるパターン、自動遷移で登録完了ページに飛ばされるパターンがあります。
アダルトサイトを見てしまった、という後ろめたさにつけ込み、閲覧した料金を請求するものです。ページに表示されるものと、ポップアップ(小さなウィンドウ)で表示を出すものがあります。
メールから誘導
アダルトサイトや出会い系サイト、懸賞情報の運営を名乗るメールで、本文に「仮登録ありがとうございます」という言葉とURLが記載されているパターンです。これにアクセスすると「本登録完了。料金は◯万円」などと表示されたりします。
このようなメールを受け取るということは、すでに業者間であなたのメールアドレスがやり取りされ、悪用された可能性があります。
SNSから誘導
メールの手口と似ていますが、TwitterやFacebookなどのSNSで、ワンクリック詐欺サイトのURLに誘導するパターンもあります。
興味を引くような文言と写真などが掲載されており、気になってアクセスすると、登録完了ページや次項で紹介するアプリのインストールページに飛ばされたりします。
アプリから誘導
動画を再生するアプリなどと紹介されており、これをインストール→起動すると「有料登録 完了」などと表示されるパターンです。
登録した覚えはないものの、「アプリをインストールしてしまったから、お金を支払わないといけないかも」と思わせることで、支払いを迫ります。
ワンクリック詐欺を防ぐ対策方法
基本的には、ワンクリック詐欺が表示されそうなサイトを閲覧しないことが最大の防御で、表示されても無視することが有効ですが、つぎのような対策をするとさらに万全でしょう。
ポップアップブロックを有効にする
ワンクリック詐欺で、画面が閉じられなくなることを防ぐのが、ブラウザの「ポップアップブロック」です。この設定方法をご紹介します。なお、Google Chromeは標準で有効になっています。
【PC】Firefoxの設定方法
1. ≡メニューの「オプション」をクリック

2. コンテンツタブ、ポップアップの項目で「ポップアップウィンドウをブロックする」のチェックを入れる

【PC】Internet Explorerの設定方法
1. 歯車アイコン→「インターネットオプション」

2. プライバシータブ、ポップアップの項目で「ポップアップ ブロックを有効にする」にチェック

【iOS】Safariの設定方法
1. 「設定」アプリ→「Safari」をタップ

2.「ポップアップブロック」のスイッチをオンにする(緑色の状態)

あやしいサイトの閲覧を避ける
アダルトサイトや動画サイトなどはとくに注意してください。利用しているとワンクリック詐欺の警告が表示される可能性があります。利用するのであれば、有名サイトだけにするとよいでしょう。
また、サイトだけでなくアプリも要注意です。最近は、動画視聴アプリと称してインストールさせ、視聴しようとすると料金請求するものがあります。アプリは口コミなどをよく確認してください。
詐欺対策ソフト・ブラウザを利用する
詐欺サイトや有害コンテンツをシャットダウンできるソフトや、ブラウザアプリなどを利用すれば、詐欺被害に遭う可能性をかなり低くできます。たとえば以下のようなものがあります。
詐欺ウォール
詐欺ウォールは、大手セキュティソフトが対応困難な日本特有の詐欺サイトにも最適化した「ネット詐欺専用セキュリティソフト」です。
- AI検知
- ブラックリスト検知
- ヒューリスティック検知
カスペルスキー
iPhone/Androidのスマホ用のセキュリティブラウザアプリです。個人情報を盗み取る詐欺サイトなどの危険なWebサイトを検知して、アクセスをブロックします。
- 高性能なフィッシング対策機能で不正サイトを効果的にブロック
- クラウド技術を活用し、最新の危険サイトのブロック
- フィルタリング機能で表示したくないWebサイトのカテゴリを選択・ブロック
Lookout
強力なモバイルセキュリティとID盗難プロテクションを同時に備え、端末を安全に守るだけでなく、その内部のデータやID情報を保護します。
- セーフブラウジング
- セーフWi-Fi
- セキュリティ侵害レポート
ワンクリック詐欺サイトの特徴・見分け方
ワンクリック詐欺サイトには、どのような特徴があるのでしょうか。その特徴を知れば、おのずと見分けることもできます。
登録を思わせないリンク
多くのワンクリック詐欺サイトに見られる特徴は、申し込みと思えないリンク(もしくはメール内のURL)をクリック→突然「登録完了」と表示→料金請求がされることです。
なかには、動画のプレイヤーに見せかけた画像で、再生しようとクリックした瞬間に「動画サイトへの登録完了」と表示されるというパターンもあります。
個人情報を特定したという表示
登録完了の画面に、利用中のIPアドレス、端末識別番号などが表示される場合もあります。そのうえで、「支払わないと情報をもとに請求する」とか、「裁判を起こす」などと脅してくる場合もあるでしょう。
「個人情報が特定されてしまったから、取り立てにくるかもしれない」と不安にさせるのが目的です。しかし、このような情報で個人は特定できません。
支払い期限が短い
焦って考えさせないようにするため、支払期限が3~5日などと短いことが多いです。また、サイトによっては「支払期日まであと◯時間」などと、動く時計でタイムリミットを煽るケースもあります。
このほか、「支払期限内であれば安く済む」や「期日を過ぎると損害賠償が発生する」と表示するサイトもあり、これらも「安く済むうちに払わないと!」と焦らせるのが目的です。
請求される金額は数万円くらい
数百万円といわれると、あまりに非現実的で払う気が起こりにくくなります。しかし、数万円だと、リンクをクリックした罪悪感から「これは払わないといけないかも」と払う気になりやすいというわけです。
ワンクリック詐欺でよくある疑問
ワンクリック詐欺に関して、次のような疑問を持っている方が多くいます。
シャッター音がしたけど乗っ取られた!?
結論から言って、乗っ取られていません。また、撮影もされていないのでご安心ください。最近登場しているスマホのワンクリック詐欺の手口です。
シャッター音とともに「証拠としてあなたの顔写真を撮影しました」などと表示があります。「顔が撮影されたから、お金を払わないと脅されるかも」と不安にさせるのが目的です。
しかし、このシャッター音はあくまで音が再生されているだけ。サイトにアクセスしただけで、カメラ機能を遠隔操作する技術はありません。このケースも無視で問題ありません。
IPアドレスで住所を特定したといわれた!
できません。たしかに、IPアドレスは所有者の国・都道府県くらいなら分かります。しかし、誤差が大きいですし、詳細な住所は絶対に特定できません。
つぎのような情報を特定されても、住所や個人の特定に至りません。そのため「あなたの個人情報を特定しました」と表示されても、心配無用です。
- IPアドレス
- 端末識別番号
- リモートホスト
- 使用しているOS
- 契約しているプロバイダ
自宅に請求書が送られてくることはある?
住所が特定されていなければ、請求書が届くことはありません。つまり、ワンクリック詐欺に遭ったサイトで住所を入力したり、電話を発信したりしなければ、特定のしようがないでしょう。
もし、個人情報を入力して送信してしまった、電話をかけてしまった、ということであれば、消費者生活センターなどに相談してみるとよいでしょう。
メールアドレスから個人情報は漏れる?
そもそもメールアドレスが個人情報ではありますが、メールアドレスから利用者の名前や住所、電話番号といった情報が漏れることはありません。
プロバイダの提供するメールアドレスだと、個人の特定は不可能ではありませんが、警察の捜査目的などに限定されます。よって、このような業者が把握することはできないのでご安心ください。
まとめ
ワンクリック詐欺に遭った場合、考えられる状況と対処方法、対策について解説しました。ワンクリック詐欺に遭った場合、対処の大原則は以下の3つです。
- 支払わない
- 問い合わせない
- 退会しない
2回クリックさせることで登録したように見せるツークリック詐欺も、基本は同様に無視で問題ありません。脅しに屈しないようにしましょう。
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